
・2002.9.13 零戦搭乗員会解散総会

9月13日(平成14年)、零戦搭乗員会の慰霊昇殿参拝、解散総会および懇親会が行われた。9月13日は、重慶上空における零戦初空戦の記念日である。参加者は約240名、うち約190名が元搭乗員で、残りは遺族、および、会の運営の手助けに、全国から馳せ参じた賛助会員である。
午前11時、靖国神社、遊就館前に零戦が引き出され、その前で総員が集まり、記念撮影。続いて昇殿参拝が執り行われ、戦没搭乗員の冥福を祈った。 その後、場所をグランドヒル市ヶ谷に移し、総会および懇親会。 総会では、長年にわたり事務局運営に尽力された、小町定、伊藤恵美子両氏に、岩下代表世話人より感謝状贈呈、続いてこの一年間に物故した、鈴木實氏(海兵60期)ほか35名の会員の冥福を祈り、一同で黙祷を捧げた。 また、その場で、零戦搭乗員会の本年一杯での解散と、新生「零戦の会」の発足が、満場一致で議決され、続いて、62年前の9月13日、重慶上空の零戦デビュー戦に参加した三上一禧、岩井勉両氏と、参加者中最高齢の原田要氏による記念講演が行われた。
総会に続いて懇親会が行われたが、大盛会で、若い有志が積極的に案内、誘導や足の不自由な人のエスコートなどに任じてくれたこともあって、「解散総会」の寂しさをみじんも感じさせない、先行きに希望の持てる会となった。
二次会の五反田「赤のれん」にも、岩下代表世話人、日高先任飛行隊長はじめ多くの元搭乗員が集結し、若い世代とともに楽しい一夜を過ごした。
総会時の現状・会員総数738名。(昨年・789名、物故35名、退会20名、新会員4名) 代表世話人挨拶(岩下邦雄・海兵69期)
皆さん、大変心残りなことですが、私どもの「零戦搭乗員会」は、本日の第25回総会を持ちまして解散いたします。
顧みますと、昭和53年に相生さんを初代代表世話人にお願いして当会が発足いたしましてから、25年の歳月が経過いたしました。 この間、周防、藤田、志賀の歴代代表のもと、戦没並びに物故者の慰霊と史実の顕彰、ならびに会員相互の親睦に務めてまいりました。 また当会は、「海軍戦闘機隊史」、「神風特別攻撃隊員之記録」の編纂、刊行という大事業を成し遂げました。当会刊行の「零戦搭乗員会会員名簿」は、これからは一層大切な資料になるものと思います。 このように多くの成果を挙げ、また25年の永きにわたって当会が存続することが出来ましたのは、ひとえに会員の皆様の「零戦」に対する並々ならぬ愛情による事であるのは言うまでもありません。 当会発足以来、献身的にお世話くださった小町副代表世話人、本部ならびに各支部の事務局、世話人の皆様に対し厚く御礼を申し上げます。
私は5代目の代表世話人となりましたが、大した仕事もできませんでした。それでも零戦を熱愛する多くの若い賛助会員の協力も得まして「零戦の会」が誕生することにお役に立てましたことを嬉しく思っております。 当会の存続につきましては会員の皆さんから「零戦の編隊は最後の一機になるまで飛び続けよ」と励ましていただき、また、「零戦会は我々の誇りであり、生き甲斐でもあるから、“零戦の灯”を消さないでくれ」との切なる願望も多数いただいておりまして、いつも大変感動いたしておりました。この気持ちは会員全員の気持ちであろうと考えております。 「零戦搭乗員会」は本日解散となりますが、私どもがお互いに抱いている親愛の情と、「零戦」に対する誇りは、生涯消えることはないと確信いたしております。
本日は、昭和15年のこの日、零戦が最初に大戦果を挙げた記念すべき日でありますが、ご審議いただいて可決されますと、幸いに「零戦搭乗員会」の後継ぎの「零戦の会」が発足致すことになります。今後はこの「零戦の会」が、毎年9月13日に靖国神社で永代神楽を奉納したあと懇親会を続けて参ることになります。 どうか皆さんで、私どもの息子である「零戦の会」を応援していただきたいと思います。 以上で私のご挨拶と致します。
「零戦の会」有志代表挨拶 (神立尚紀・賛助会員)
只今、ご紹介にあずかりました神立でございます。
賛助会員有志を代表しまして、ご挨拶を申し上げます。 ふとしたご縁から、このような大任を仰せつかり、身の引き締まる思いがいたしておると同時に、人の縁の不思議さを実感しております。 零戦搭乗員会の解散が議題に上ってより、常任世話人会における4年におよぶ審議を経て、解散後は、新生「零戦の会」が、若い世代を正会員に迎えて、零戦搭乗員会の遺志を受け継ぎ、慰霊顕彰の事業を継続していくこととなりました。 したがいまして、本日は、零戦搭乗員会の解散総会の日であると同時に、「零戦の会」の晴れのスタートの日でもございます。 幸い、20代、皆様のお孫さんの世代から、50代、息子さんの世代まで、会の趣旨に賛同し、その活動を積極的にお手伝いしたいという仲間が、全国からここに集まってくれました。 私ども賛助会員有志が実行委員会として、今後、「零戦の会」の活動を維持してゆくためのお手伝いをさせていただきます。 実行委員会の活動内容としては、年に一度の定例行事のお手伝いはもちろんですが、その他、名簿発行、会報に代わるものとしてのホームページの維持管理、元搭乗員の皆様と若い世代の交流会、出版活動など、「搭乗員会」時代にはできなかったことも含めて、きめ細かな活動を行っていきたいと考えております。
ここで、本日、正式に開設いたしました、ホームページについて、簡単にご説明いたします。(中略) ・・・とはいえ、皆様の中には、パソコンですとか、インターネットなど、おやりになっている方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。そこで、パソコンをおやりになっていない方は、できればお子様やお孫さんにパソコンを見せてもらわれて、時々このホームページを覗いていただければと思います。そしてそこから、ご家族の中で新たな対話が生まれれば、とても嬉しいことだと思いますし、これをきっかけにして、お子様やお孫さんが「零戦の会」の活動にご参加いただけるようになれば、これは、「零戦」を語り継いでいく上で、素晴らしいことになると考えております。 また、これを機に、皆様も、できれば、パソコンをお始めになられれば、新たな世界が開けるのではないかと思います。一見、難しそうですし、事実、奥は深いのですが、今は良い教材もありますし、60年も前に、最先端の飛行機の操縦をなさっていたことを思えば、さほど大変なものではございません。ぜひ、お勧めしたいと思います。
最後にひと言、申し上げます。男が男であった最後の時代、名もなく戦い、日本を象徴する名機・零戦を駆って、若い命を国に捧げた人たちのことは決して忘れてはならないと思います。 皆さんが、心安んじて編隊飛行を全うされますよう、有志一同、誠心誠意お手伝いさせていただき、零戦の灯をともしつづける決意でございます。若輩者揃いゆえ、かえってお手をわずらわせることも多々あろうかとは存じますが、今後ともご指導のほど、お願い申し上げます。 以上で私のご挨拶とさせていただきます。有難うございました。
神立尚紀
・2002年零戦搭乗員会解散総会スナップ

靖国神社での受付の模様

零戦の前で

遊就館前、零戦をバックに記念撮影

総会にて。三上一禧氏(操37)の記念講演

二〇五空、特攻大義隊の元隊員たち

集合写真撮影のため遊就館より外に出された
零戦の前で写真を撮る吾妻常雄氏(海兵73)

集合写真撮影前のひとコマ

総会の模様

サインをする山田良市氏(海兵71)

左、角田和男氏(乙5)

左から伊藤さん(事務局)、椿猛氏(海兵73期)、田中國義氏(操練31期)

右、岩井勉氏(乙6)

米海軍のゲストと共に。右から2人目岩下邦雄氏(海兵69)、左端大原亮治氏(丙4)

若い有志と語り合う原田要氏(操練35)

横断幕の前で記念撮影

左より、小町定氏(操練49)、岩下邦雄氏(海兵69)、伊藤さん(事務局)、中西健造氏(海兵72)

五反田「赤のれん」での二次会の模様
